J. Michael Bailey (2003) The Man Who Would Be Queen
王になろうとした男 The Man Who Would Be King が題名の元ネタか
幼児期の性同一性障害
<途中まで読んだときの感想>
ステレオタイプに合致しない事例の存在が全て社会構築主義の証拠なのではなくて、生得的と思われる反例の存在は社会的影響説にむしろ反する証拠になるというのは見落としがちかもしれない (いや反例として出す人は社会的影響であるという証拠ではなくそもそもステレオタイプが偽であるという証拠として出しているのか。
つまり性差が社会的構築であるというとき、性差に関する印象が伝聞で流通しているだけでそれ以上の根拠がないと言っている場合と、周囲の期待やロールモデルの選択などにより実際にそのような性差が生じていると言っている場合があり、ステレオタイプに合致しない事例を社会構築主義の根拠として言う人は前者の意味で社会的と言っている(?)
(そもそも言っているっけ?)(これは社会的構築という概念の曖昧性によるのでは))
社会的反発にもかかわらず性同一性障害の人が異性の格好をしたがったりするのは性自認の生得性の証拠
というか、早期性性同一性障害の人というのはある種、自然発生したブレンダと呼ばれた少年のようなもので、性差が文化的原因だとする人には都合の悪い例だ (→しかしそのような人も押し付けによって男らしくふるまうようにされるのは成功する場合があるようだから、かならずしも社会規範の影響の少なさを示すものでもないか)
*Man Who Would Be Queen*(この本がどの程度信頼できるのか知らない)には性自認は生得的であるって主張と、それでも以前は性同一性障害だったがそうでなくなった男性同性愛者はおなじ男性同性愛者にモテるために筋トレしたりして男らしくなり、以前の女性的側面を恥じるという主張があって、緊張関係にある気がした
性自認じたいは生得的だがモテたいという性欲には勝てないということか (それは生得的ということが必ずしも不変ということではないことを、示してもいるのでは) (これはなにか個人が持つ性自認というものの不思議な柔軟性を示しているように見える)
単にモテたいという気持ちが強い人やモテる人がゲイの中で目立っている可能性?
これってgender identity disorderという障害における医学的な意味における性自認と、社会的にそう扱われるべき自認という政治的な意味における性自認が必ずしも同じでないことを (かなり鮮烈に) 示している例なのでは
</途中まで読んだときの感想>(あとの部分で上の部分の感想についてもっと説明されていた。)
いや性自認が生得的だと言っているわけではなく、幼児期の性同一性障害と言われる現象があり、これは生得的な基盤を持つが、それが一般的に性自認と言われるものと対応するわけではない、と主張されている
性転換するかどうか は、幼児期の性同一性障害を持つかどうかと必ずしも一致するわけではなく、むしろ後天的要因が強いと言っている。
幼児期の性同一性障害というものが存在すると前の方の章では言っているけれど、そのような人がトランスするかというのはどちらかというと配偶者獲得の上での合理的な要素がある、つまり性愛的な目的なのだとも言っている。
ふつうに小さい頃にお姫様になりたがってたから女になりたい、という解釈はしていないということだ
でも下層階級などにトランス女性が多い理由としてはそういった性愛的理由ではなく、性別規範に従う (学校や就職の必要など?) インセンティブが乏しいからと言っている。これは小さい頃から女っぽかったから、ずっと女っぽいということだろう。
ということは性愛的な理由もそうでない理由も影響するということではないか…?
幼児期の性同一性障害を持っていたが、オートアンドロフィリアのため性転換しない生物学的男性とか
性同一性障害者が子供の時 性自認 (?) と一致する方の性別と遊ぶ傾向があるということは、友情を向ける性別、友情指向なるものが存在するに違いない(?)
男性同性愛
ayu-mushi.icon性的指向、利き手
右利き、左利き、両利き、無利き
交差利き
昔ゲイがガチムチだったりオカマだったり複数の矛盾したステレオタイプがあるので、それらはどちらも偽で、実際は男が好きな男という語義的な分析的判断以上の情報は導けないのだろう (ステレオタイプにすぎない) みたいに思っていたが、どうも実はどちらも真である(とBaileyの言うことからは思われる)。
ayu-mushi.icon男性的・女性的という概念を、各タスクの成績から一般知能因子を抽出するのと似たように、{陰茎を持つか, 小さい頃車で遊んだか, 小さい頃人形で遊んだか, スカートを履くか, ピンクが好きか, 広い肩幅に対し性的魅力を感じるか, 胸板に対し性的魅力を感じるか, etc..} の因子分析の結果として抽出することを考える。おそらく、(少なくとも日本社会では) 全部相関はするので、一般因子が抽出されるはずだと思う。
(関連:
https://gyazo.com/b454f2efedc25f56b8427e005b5595f6
https://gyazo.com/11e753d129db79917580e19a8d066a6e
このとき、知能に言語理解, 知覚推理, 作業記憶, 処理速度などの群因子があるのと同じように、お互いにその中でより強い相関を持った変数の集団である群因子が抽出されることが考えられる。
その群因子は、ジェンダー論? で言われる、解剖学的的性別・性自認・性的指向・性表現というふうな軸に対応するのか。それともそれらの区切りをまたいで変な群因子が抽出されるのか。
サーストンの群因子説
男性同性愛者は男らしい人を好むが、他の男性同性愛者を探す際には女性的な特徴を探すことになるということになるのだろう
つまりパートナーとしての良さと男性らしさは性的指向について条件づけすると正の相関になるが、条件付けしない場合は複雑なグラフになるのでは
良すぎると良くないという話は他にもあって、たとえば点数が高すぎるとイカサマをしている可能性が上がるからイカサマについて条件付けすれば点数が高いほうがいいが、一般的に点数が高すぎる人間は良くないということがありえる。
Out of approximately 30 men who claim to be bisexual, only 2 have sexual arousal patterns that might be classified as bisexual. p.133
いや、本文にも2人はいると書いてある
女装する男性と性行為する男性をヘテロセクシャルに分類しているけど、「バイセクシュアルは存在しない」が成り立つように定義している、True Scotsmanになっているのでは?
ベイリーは「一般に異性愛者と言われている人間でも同性と性行為しても興奮はできるし、周囲に異性がいないかつホモフォビアがない場合、現に行われる。しかし興奮の傾向に違いがあり、その傾向によって異性愛者・同性愛者と言っている」のだというが、それは「人間が元々両性愛者で、後から性的指向の分類が生まれた結果行動に影響する」というフーコー的な? 社会構築主義も一面では正しいということな気がする
つまり両性愛者を「どちらの性別とセックスしても一定の閾値以上の性的興奮を得られる」と定義した上で、閾値を小さく取れば成り立つだろう (そりゃそうだけど)
まあ語義上の問題が含まれているね
"ベイリー氏は「男性にとっては性的指向とはすなわち性的興奮」と言い切るのだけれど、他人に性的な魅力を感じるということ、性的な関係を結びたいと思う気持ちを性器の充血と膨張だけに還元してしまうのはやっぱりおかしいように思う。"
というのはまったくもっともな反論だと思うな ベイリー自身も、後の章ではこの人はバイセクシャルのMtFだ、というように、バイセクシャルの概念を存在しているものとして扱っているところもあるし
にも生得性、社会的影響について書いている
オートガイネフィリア理論
なんかBlanchardはかなり政治に首をつっこんでる人っぽい?
We know little about the causes of either type of transsexualism (though we have some good hunches about one type).
p.145
いわく、Baileyのオートガイネフィリアの指標を使うとトランスジェンダーの人もトランスジェンダーでないひとでも(性自認の性が性的指向する性に含まれている場合)オートXフィリアに同じくらい当てはまる
39/(375+39) = 0.09420289855 = 9.4%
Lesbian trans women/(Straight cis women +Lesbian trans women)
これはslate star codex読者にはトランス女性が多いってことなのか、オートガイネフィリアについての質問項目を含むから多く答えられたのか? いや Lizardman’s Constant か?
男性愛者であるMtFと、非男性愛者(両性愛者、無性愛者含む)であるMtFには 後者はオートガイネフィリアが共通点としてあるという
それは男性愛者の場合には自分が女と想像しても興奮しないだけでは (ふつうに考えると無性愛者でも興奮しないだろうが、Baileyによると無性愛者もオートガイネフィリアを報告しているらしい)
(ベイリーは普通オートガイネフィリアは女性愛者だとしても普通のことではないから、独立に確率の低い出来事が生じていると考えるよりも、それらが相関しているという説のほうが尤度が高いとしてサポートされるべきと論じているということでは
つまり女性愛者男性だからといって、自分を女と想像してもふつうは興奮しないといっているわけだ(ほんと?)
)
When I pointed this out, one cross-dresser said “I wear feminine clothng because I feel feminine, and I can’t help getting aroused because the clothes are sexy. Any man would.” I don’t think so. But you can judge. Here is one of the passages that aroused the cross-dressers in Blanchard’s study. See if you think it is sexy.
>You have plenty of time to dress this evening. You slip your panties over your ankles and pull them up to your waist. Sitting on the edge of your bed, you put on a pair of sheer nylon stockings. You fasten the stockings with the
snaps of your lacy garter belt. You slip your arms through the straps of your brassiere and reach behind you to fasten it. You put on your eye shadow,
p.173
"Technological and scientific careers seem to me to be over-represented among autogynephiles. (Ray Blanchard remarked to me that he saw a seemingly close relation between autogynephilia and computer nerdiness.)"
p.168
ASD?
高専生が女装多いみたいな話は聞いたことある、けど男子校などでも同様そう
能登だでぃ子 (@ntddk) 氏がプログラマにオートガイネフィリア多いって言ってたの大昔に見た
プログラマ、自称幼女とかは見る
意図的に性別非公開にしてる曖昧な人とか
インターネット上では意図的に性別非公開にしている人で、リアルで会った人はその人の性別に関しそれぞれ食い違った証言をしており、めちゃくちゃ後になってMtFだと公開されたことがあって、あれはこれぞインターネットって感じで良かった (曖昧に情報系クラスタに近いクラスタにいたけど本人が情報系ではなかった気がするな)。
ラバーハンド錯視がASDでは健常者と異なる傾向があるみたいな、自他の認識に関係するとか?
オートガイネフィリアは生得的だと推測している p.170
多くのオートガイネフィリアは結婚した後で性転換するらしいけど、そんな年齢になってから性転換して性的満足感を得られるのだろうか
"Homosexual transsexuals are in their own way just as sexually motivated as autogynephiles."
p.180
Kim’s story shows that sex reassignment is not necessarily an inevitable, unwavering goal for the homosexual transsexual. Rather, sex reassignment has a rational choice component: “Can I make it? Will I be happier as a female? Will I be more successful getting straight men as a woman than I am at getting gay men as a man?” (The last decision has to be weighted by a particular transsexual’s degree of preference for straight versus gay men. Most vastly prefer straight men.)
(The last decision has to be weighted by a particular transsexual’s degree of preference for straight versus gay men. Most vastly prefer straight men.) This could help explain why the large majority of boys who start out looking transsexual ultimately do not pursue sex reassignment. Some doubt they can be attractive women.
p.182
In a content analysis of sexual personals advertisements, he found that about half of men who sought she-males were cross-dressers. Blanchard thinks that a significant number of men who want she-males are “partial autogyne- philes”—they are primarily aroused to the image of themselves as shemale.
p.187